がん看護 意思決定支援 病棟と外来の違い

看護ケア

意思決定支援って言葉、よく聞きますよね。
結構多用されてますが、そもそもそんな簡単なものじゃないんですよ。
決定するのに意思を確認する必要がありますし、支援といっても状況によって変わります。

「どんな関わりをしましたか?」「意思決定支援です」
と返答するのに便利だから多用されてるんじゃないでしょうか。
他者に伝わりやすいメリットはありますが、
多用されるデメリットは、支援の質が人によって大きく異なります。
だから場面設定で細かく支援内容を見ていく必要があるのです。

今回は病棟と外来の意思決定支援の違いを見ていきたいと思います。

病棟編

基本的に病棟では、告知されたがんを治療するために入院してきます。
治療が終われば退院しますが、それからも治療が続きます。

ここでの意思決定場面はどこでしょう?

病棟での意思決定支援のポイント

まず大きな問題は、
治療を受けている=病気を受け入れて前向きに治療している」ではないことです。

入院目的が治療の遂行であるために、目が届きにくい部分になります。

病棟での関わりは、スケジュールを滞りなく遂行することと、状態が変化しないかが主体となります。意思確認にはもう一歩踏み込まないといけないため、
その患者さんにどれだけの思い入れを持つか、という個人差が生まれてきます。
これではなかなか全員ができるケアにはなり得ません。

看護の質

看護はチームです。
それぞれの取得した情報を共有し、統一して関わることでケアできる。
…と管理者側は思うでしょう。

皆で注意をしつつ関わることはできるでしょうが、
始めにしなければならないのは、関わる看護師の質を統一することです。
看護師の中でも「できる人」、「できるけどしない人」、
「やりたいけどできない人」、「やらない人」… など、
様々なパターンが想定される中、チームを組んだとて機能しなければ意味がないのです。
特に病棟は若い世代が多く、なかなか踏み込んだケアまで実力が伴わないことが多いのです。

なので、中堅〜ベテランの看護師が、
どこまでモチベーションを保ちながら働けているか
という組織的な問題にも発展し得る課題になります。
この世代が活躍できる職場は、自然と若い世代も育っていきますよね。

これはまた別の話・・・

時間がない

忙しいと良く聞きますが、本当に時間はありませんか?

患者さんは看護師が忙しいのはよく知っています。
だから話すタイミングを待っています。
少しでも聞く姿勢をもつと、同じ話でも患者さんは話してくれます。
そこでどれだけ踏み込んで話が聞けるか・・・

ここから先はコミュニケーションスキルが必要になります。

まずは「聴く」こと

まずは聴く姿勢を持つということを大事にしなければならないのです。

話をすると治療に前向きである方だとしても、
今後の生活や病状の変化に対して不安を抱えています。
そんな話を入院中にできると、
帰宅後の生活が少しでも前向きになると思いませんか?

私が専門外来をしている頃は、
家族に言えないことを話にきてる」と言ってくれる患者さんも多かったです。

外来編

外来は日常生活を送りながら病院へ通院されている場所です。
よって、診察以外は病院に用事がないのです。

そこで患者さんが話をしてくれるか、時間を作ってもらえるかが課題となります。

外来での意思決定支援の課題

外来看護師さんの多くは、病棟と違いベテランが多いです。
そのため患者さんの変化を察知する力は充分に持っておられる方が多いです。
ですが、外来は診察介助や案内業務に追われることが多く、
患者さんと関わること自体が少ない場所になります。

関わりたいのに関われないジレンマを感じておられる方も多く、
組織的に時間を確保する必要があるのが大きな問題点です。

個人でできる工夫

工夫の一つとしては、自分で関われないのなら、他職種を利用することです。
がん診療拠点病院であれば、がん相談支援センターを置く必要があります。
そこではがん専門相談員を配置し、看護師や社会福祉士などが在中しています。

他には専門外来として看護外来を行っていることもあります。
臨床心理士・公認心理師が外来を行っている場合もあるでしょう。
これらの窓口に適切と思われる時期に案内できることが、大きな役割となり得ます。

他のツール

もしそんな外来がないのなら・・・
がん相談支援センターは外部の相談も受け付けています。
連絡してみることを勧めるのも方法の一つでしょう。

自分で関わることができるのが、
自分にとっても患者さんにとっても、ニーズに応えられる一番の方法ですが、
繋げることができる環境であるということが、患者さんのためになっています。

外来看護師のモチベーション

自分が関われていないと思うことも多いでしょう。

仕事だからと割り切るかた、関われないからと諦めるかた、私の仕事ではないと避けるかた。
色んな考え方がありますが、本当は自分関わりたいはずだと思います。

どうにもならないと思っているから、自分の考え方を変えるしかなかったのでしょう。
そういった現状があるのもわかります。
ですが、何ができるかと考える貴方の気持ちは患者さんに届いているはずです
そんな気持ちだけは忘れないでいきたいですね。

今回は以上です。

著者プロフィール

がん化学療法看護認定看護師 看護師歴15年超。

看護師の養成学校では、がん看護を学ぶ機会は少ないです。
皆さんは臨床に出てから、関わり方に悩むことが多いと思います。
臨床に出てから困らないように、必要な知識や看護ケアを少しでも多く伝えられたらと思っています。
分かりやすく、使える知識が得られるようにしていきます。

個人の力では目の前の方にしか関われませんが、多くの方が同じ思いを共有して、今よりも良い関わりができるようになれたと感じてもらえることが目標です。
合わせて患者さん・ご家族さんも情報源として活用してもらえるようになれば幸いです。

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