骨切り術後の経過

色々な体験談

骨切り術自体、大手術の分類に入りますので、入院期間は比較的長いです。
普通の経過であっても3週間は基本になるようです。
一般的に入院の基本は1〜2週間が基本となり、多くの場合は1週間以内の退院を目指すようになっています。

このような長い経過を過ごすことも多くなくなっているので、せっかくの機会に患者の立場からだからこそ気づける看護の視点を大事にしたいと思い、日常を記載しておこうと思います。

私の場合、変形が強いのと長年抱えてきた持病であるため、半月板損傷がかなり進行していたようです。
そのため、いずれかは人工関節置換術を行う可能性が高くなるのですが、その可能性を減らすことができることと、再手術となる場合でも影響のない術式を選択していただきました。
その分、治療にかかる日数は5週〜6週間かかると言われています。

現役看護師が入院して、他の病院を見るというような経験は多くないので、ご参考になれば幸いです。

入院〜術後2日目まで

正直ここが一番辛いところだと思います。
環境に慣れていないまま、手術を行なって、辛い思いをしながら耐える。
ここにこそ、看護師は寄り添わなければならないと思いますが…
正直私の入院先はよろしくありませんでした。

入院直後

この段階の患者さんは、次のような状況にあることを念頭に置きましょう。

  • 先に説明してもらわないと、聞いておきたいことも分からない
  • 大まかな一日の流れが分からないので、次に何をしたら良いか分からない
  • 入院当日にしておいた方が良いこと、翌日に備えておくことを教えてほしい
  • その都度でも大まかな状況が予測できるような説明が欲しい

看護師側からすると、入院の説明を何度も行なっていますので、自分の説明するパターンができてしまいます。
だから時々見直して欲しいのです。
①説明内容を理解できていることを確認しながら、相手に合わせたスピードで話せているか、②訪室回数が1〜2回ではないか、③再度理解を確認できる時間を作れているか、このような点を考えて欲しいですね。
そこから個別性を出し、この入院目的なら〇〇しておいて、△△のような状況になることを説明しておこう、と考えるべきではないでしょうか。

今回の入院でその個別性を教えてくださったのは理学療法士さんでした。
痛みの程度や簡単な経過について教えてくださり、「じゃあ今のうちにシャワーしとこう」と看護師へ伝えた時には遅く、今日はシャワーは終わりましたと…
看護師とは…と考えるきっかけになりました。

手術当日

手術室の看護師さん、麻酔科の先生にも励ましていただき、「術後はしっかり痛み止め使うように」と言って頂いていました。
「点滴している針のところが熱くなってきました」と伝えた一瞬のうちに意識はありませんでした。

気付けば終わっており、「安静3時間経ったら車椅子乗って良いそうです」と看護師さんから伝えられたのですが、麻酔が切れるにつれ、とにかく痛い。
痛み止めの追加をお願いしても、術中に使用したからと使用できず。
30分後に来ますと言われたまま、3時間後に来られ、「車椅子乗りますか?」って。
痛いって言ってんだけど。。。と呆れてしまって。
痛いからと断ると、じゃあ冷やしましょうと、トイレ行きたくなるやんとツッコミを入れながら耐えました。

痛みで全く眠れずにいるのを巡視して知っている看護師たち。
定期的な抗生剤と痛み止めは点滴してくれているが、何か言葉掛けはないの?
どうしたら少しでもマシになるか、一緒に考えたらどうなの?
トイレに車椅子移乗も、誰も足を支えてもらえず、拷問でした。

術後の痛みは積極的に取る!って方針は全国共通のはずなんだが。
極め付けは夜勤最後の一言で、「昨日は眠れませんでしたか?元々眠れないとかではなく?」って。
耳を疑いました。
術直後に痛みの程度は人それぞれだろうが、痛くなくて眠れないだけの人なんていないでしょう。
言葉の節々にご自身の態度が出ているのですよ。

術後1日目

全く眠れてない状態で、清拭しましょう、リハビリしましょうと言ってくる。
ただ、足が腫れてるからクッションで浮かしましょう、と、ようやく楽にしてくれた。
それで少し寝れると気分も変わったが、痛みは続く。

ただ車椅子移乗は手伝ってくれる。
理学療法士もやってきたが、痛みが強い状態で積極的なリハビリはしないと。
イメージはイケイケガンガンな運動屋さんと思っていたが、一番優しかった。

痛くない移乗の方法、痛くない安静時保持、本当は看護師が考えるんじゃね?と思うことを丁寧に時間かけてくれた。
これからは理学療法士に全部言おうと心に誓った一日でした。

術後2日目

昨日も認知症と喧嘩している看護師と、痛いですか?と聞いてくるだけの看護師で夜は眠れなかった。
ただ昨日と違うのは頓服を持ってきてくれ、少しは眠れた。

朝から少し活力が戻り、ようやくこれを書こうという気持ちになれている。
今日も頓服があるという安心感があるので、昨日よりは不安が軽減している。
日にち薬とは良くいうもので、日に日に痛みの程度が下がっているのは感じられる。
しかし、初日は本当に現代かと思うくらいの苦痛を味わった。

しんどい時に話を聞いてくれた、寄り添ってくれたというだけで、ものすごく感謝される患者さんの気持ちがよくわかった。
何もしてないのに申し訳ないと思っていたが、それだけ患者さんは「良い看護師」に出会えていない割合が高いのだと思う。
普段の何気ない一言が、患者心理に突き刺さることもあるし、その逆もある。
どれだけ人のことを心配した態度かどうかは、患者側からはすぐに分かる。
自分が行なっている看護の重要さが身に染みてわかった気がした3日間。

一般的に、入院前に確認しておいた方が良いこと

看護師ですので、入院の大きな流れや経過がある程度わかっていました。
ですので大抵のことは入院前に確認し、準備したつもりではありましたが、それでもやっておけば良かったと思うこともありました。
この項で少しまとめておきたいと思います。

  • 自分の入っている保険で得られる保険料
  • 休職するための手続きと、その間の給与取得
  • ほとんどの医療機関ではDPC(包括医療費支払制度)での医療費算定となるので、そのDPCから外れる分の支払額の概算(差額ベッド代、食費など)
  • クリニカルパスの対象であるか否か
  • 生活必需品の準備(着替え・タオル・シャワー用品・靴・洗面用具・食事するための箸スプーンなど)
  • Wi-Fi対応施設かどうか
  • 総室予定なら窓際の希望を聞いてくれるかどうか
  • 術後の痛み止めは、何をどの程度の頻度で使用できるのか
  • 病院のHPでは分からなかった疑問点を列挙しておく

入院時の看護について、こちらの記事も参考にどうぞ↓
https://www.tensei-blog.shop/nurse-response-during-hospitalization/482/

DPCとは

入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射、1000点未満の処置などを一まとめにして支払いを分かりやすくしたものです。
この中で行われる治療に関しては、1疾病に対して一律となるので、支払額がある程度固定されます。そこに手術、リハビリ、輸血、内視鏡検査、病理検査、食事などを出来高算定として加えられます。
入院基本料とは、入院時医学管理料、看護配置基準に則った看護料、部屋代、寝具などが該当します。

クリニカルパスとは

治療や検査の標準的な予定を一覧にまとめて説明できるようにした計画書です。
これを使用することで、あらかじめ内容を理解しやすかったり、スタッフ全員の知識の統一にもなり得ます。

術後3〜6日目

このくらいまで経過すると、全ての状況が落ち着いてき始めます。
自分にも余裕を持った行動が可能となり、色々と意欲が出てくる時期になります。
その意欲に看護師は応えることができるのか。。。

術後3日目

車椅子への移乗もスムーズに行えるようになり、看護師さんへ気を遣わなくて済むようになってきました。
そうすると自分で動こうという気力が湧いてきます。
リハビリへ行ったり、売店へ行ったり。
医師からは入院前からシャワーは翌日から可能と聞いていたが、病棟では、今日絆創膏を貼り替えてもらって、この状態で入っていいと許可を得た。
少し納得がいかない部分もありながらだが、どちらにせよ痛くて動けなかっただろう。
このまま入っていいと医師に言われたことを看護師に伝えると、「普通は4日目からなので明日に許可が出ると思う」とのこと。
口頭でこのまま入って良いと言われているが…と伝えるも看護師側の許可が得られなかった。

なぜこうも認識が違うのだろう。
要因を考えてみた。

  • 患者の言動から、医師に指示を確認しようとしていない
  • 看護師側の思い込みで行動している
  • 看護師サイドの決まり事がある
  • 逆らえない先輩がいる

などではないだろうか。
まあ1日入れなかった程度では問題ないので、余計な波風立たないよう濁しておこう。
と患者心理なら思うだろう。私もそう思った。
ここでの誠意ある対応で、患者の印象は大きく変わるはずである。

術後4日目

夜もよく眠れるようになり、寝返りも打てるようになった。
一回は痛みで起きることはあるが、最初に比べれば雲泥の差だ。
本当に痛かった時のことなど忘れてしまったかのようだ。

念願のシャワー。
昨日は見守りが必要と言われていたが、今日は時間を取ったら勝手に入っていいと。
看護師間のルールの統一ができていないようだ。

食事も苦痛な内容が多い。
売店で購入して摂取したいと希望をしてみた。
入院料金に含まれているため、欠食対応ができないとのこと。
?????
DPC?栄養サポートチーム?
食事制限があるわけでもなく、特別食の対応でもないので加算は不可能では?
食事とベッド差額はDPCに含まれないはずでは???

また窓口に聞いてみるしかないか。

改善点
  • 看護師間のルール統一のための看護手順書が必要
  • 疾患別のルールを統一するためにクリニカルパスを導入
  • 先輩に聞くだけでなく、専門部署へ問い合わせる対応方法の指導が必要

術後5日目

ここまで来ると、術後の痛みで苦しむことは少なくなってきています。
まだ腫れて、熱もあって、重たく突っ張っていますが、常に痛い状況からは回避できています。
そんな中シャワーに入ろうと思ったら、日曜日なのでシャワーができないと。

何それ?
シャワーも週2回にしてくださいと。

これら全ては看護サイドの都合で作られているルールです。
休日は看護師・看護補助者の数が少ないシフト構成になっています。
よって、シャワー介助ができない、使用された後の清掃ができないという理由です。

こんなことは患者には関係ありません。
リハビリのない休日にこそ、普通の生活に近づける余裕があるのに。
介助されるなら仕方ないと思ってしまうかもしれませんが、自立していて制限がかかるのはどう考えてもおかしいですね。

入院基本料で看護体制に合わせた支払いを行っているのは患者ですよ?
皆様の病院は大丈夫ですか?

術後6日目

日に日に痛みは良くなっている。
夜1回は目が覚めるが、前ほどの痛みで起床するのではない。
逆に動けるようになった分、急に力が入ってしまうこともあり、突発的に痛くなることもあった。
ここからはリハビリと普段の生活リズムに戻していくことが求められるだろう。

これ以降はリハビリの経過となりますので、この記事はここまでとします。
術後は約1週間程度で疼痛コントロールはできていくことが、実感としてありました。
損傷した筋肉や炎症の回復にはもう少し時間がかかりますが、努力次第のところもあります。
結果として今回、看護師の配慮がいかに需要かということに気づけた経験は、私の中で大きな糧となりました。

著者プロフィール

がん化学療法看護認定看護師 看護師歴15年超。

看護師の養成学校では、がん看護を学ぶ機会は少ないです。
皆さんは臨床に出てから、関わり方に悩むことが多いと思います。
臨床に出てから困らないように、必要な知識や看護ケアを少しでも多く伝えられたらと思っています。
分かりやすく、使える知識が得られるようにしていきます。

個人の力では目の前の方にしか関われませんが、多くの方が同じ思いを共有して、今よりも良い関わりができるようになれたと感じてもらえることが目標です。
合わせて患者さん・ご家族さんも情報源として活用してもらえるようになれば幸いです。

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