薬の飲み合わせや飲食物との影響

がんの知識

薬を飲むとき、飲む時間も決まっていますが、基本は水かお茶で飲むように説明します。
他のもので内服した場合、どのような作用があるか、何がいけないのかをまとめていきます。

薬と飲食物の飲み合わせで、作用が増強するもの

飲食物相互作用主な薬物
グレープフルーツジュース小腸の薬物代謝酵素CYP3A4を阻害するカルシウム拮抗薬
HMG-CoA還元酵素阻害薬
HIVプロテアーゼ阻害薬
免疫抑制薬
睡眠導入薬
血小板凝集抑制薬
低塩食塩分制限によってリチウムの再吸収が促進する炭酸リチウム
牛乳消化管内での可溶性を促進エトレチナート
グリセオフルビン
腸内で溶解せず、胃内で溶解するピサコジル
果物ジュース+制酸薬ジュースや制酸薬によって尿のpHが塩基性に傾き、塩基性薬物であるキニジンの再吸収が促進される硫酸キニジン
お酒アルコールの優先的な代謝による中毒症状ベンゾジアゼピン系睡眠薬
肝毒性誘発代謝物への生成が亢進する非ピリン系解熱鎮痛薬
アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害しアセトアルデヒド上昇セフェム系抗生物質
高カロリー
高脂肪食
脂肪の優先的な代謝による中毒症状テオフィリン
タバコ静脈血栓症の副作用誘発経口避妊薬
コーヒーテオフィリンとカフェインの代謝が互いに阻害されるテオフィリン
CYP1A2を阻害するヒスタミンH2受容体拮抗薬
ニューキノロン系抗菌薬
SSRI
マグロ古くなると細菌によって、ヒスチジンからヒスタミンを生成する。イソニアジドはヒスタミン代謝分解を阻害するので、ヒスタミン中毒を起こすイソニアジド
チーズチラミン代謝を阻害するイソニアジド
MAO阻害薬

薬と飲食物・サプリメントで、作用が減弱するもの

飲食物相互作用主な薬物
セントジョーンズワートヒペルフォリン、ヒペリシンなどが、
CYP3A4やCYP1A2の含量を増加させる
(酵素誘導)
P糖タンパク質の含量も増加し、薬物排出が促進する
免疫抑制薬
気管支喘息治療薬
抗てんかん薬
強心薬
抗不整脈薬
抗HIV薬
経口避妊薬
血液凝固阻害薬
抗うつ薬
麻酔導入薬
高脂血症治療薬
タバコCYP1A2の含量が増加し、体内消失が促進テオフィリン
ビタミンB6塩酸ピリドキシンとの併用で、レボドパの代謝促進レボドパ
高タンパク食レボドパの脳内への取り込み低下レボドパ
葉酸フェニトインの長期服用で葉酸が枯渇状態になる
その状態で葉酸を補うと代謝促進される
フェニトイン
ガーリックCYP3A4やP糖タンパク質の含量増加が考えられるサキナビル
牛乳消化管からの吸収低下ノルフロキサシン
エストラムスチンナトリウム
ミノサイクリン
高食物繊維食物繊維が薬物を吸着して吸収低下アモキシシリン
ビタミンB12長期服用でビタミンB12欠乏になる
シアノコバラミンの遊離を低下させ、消化管吸収を低下
シメチジン
オメプラゾール
ビタミンDカルシウム代謝が阻害されて骨軟化症を引き起こす抗てんかん薬
納豆
緑葉野菜
クロレラ
アボカド
ビタミンKが拮抗作用ワルファリンカリウム

【引用・参考文献】
折井孝男監修:「説明力UP!臨床で役立つ薬の知識」、学習研究社、2007.3
浜田康次監修:「スラスラわかる薬のメカニズム」、医学芸術社、ナーシングカレッジ2006年10月臨時増刊号、第10巻第12号通巻148号
古川裕之編著:「ナースに必要な薬の基本 キー・ドラッグ」、学習研究社、2007.12

著者プロフィール

がん化学療法看護認定看護師 看護師歴15年超。

看護師の養成学校では、がん看護を学ぶ機会は少ないです。
皆さんは臨床に出てから、関わり方に悩むことが多いと思います。
臨床に出てから困らないように、必要な知識や看護ケアを少しでも多く伝えられたらと思っています。
分かりやすく、使える知識が得られるようにしていきます。

個人の力では目の前の方にしか関われませんが、多くの方が同じ思いを共有して、今よりも良い関わりができるようになれたと感じてもらえることが目標です。
合わせて患者さん・ご家族さんも情報源として活用してもらえるようになれば幸いです。

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