がんになる確率は2人に1人です。
50%の確率で、誰しもがいつかがんになる可能性があります。
そんな時に備えて、心にとめておいて欲しいことを3つ紹介します。
これらは、私が患者さんと関わる中で、必ず経験する例ですが、
あくまで経験談で、学問としての根拠あるものではありませんので、
参考になれればと思って書いています。
ですが、多くの方が同様の思考を辿りますので、関わる際に念頭に置いておくと良いと思います。
①病気になった原因はわからない

何でこんなことになったのかしら…
毎年検診も受けてたのに…
あの時調子が悪かった時が症状だったのかしら…
そうだったらもっと早く病院に来たら違ったのかしら…
がんと言われて、まず考えるのは、
「どうして病気になったんだろう」「何も悪い事していないのに」「何がいけなかったんだろう」
と過去を振り返って考えます。
振り返ること自体は悪くない
多くの場合は症状があるので、その原因を考えてしまうのです。
熱が出た ⇒ 検査をした ⇒ インフルエンザと診断
腰が痛い ⇒ 足がしびれる ⇒ 腰椎ヘルニアと診断
めまいがする ⇒ 頭が痛くて吐いた ⇒ 脳出血と診断
という具合に、「調子がおかしい」と思うことで病院にいきます。
その病気が治る病気なら、
「あの時○○したから」と、自分を納得させられます。
ですが、がんは無症状のことも多い病気です。
ですので定期的な検診を勧められていますが、
全てに対応できるほど検診の精度は高くないので、発見が遅くなることもあり得ます。
原因ではなく、リスク要因がある
がんという病気は原因が特定できません。
インターネットで様々な情報が出ていますが、
「これが原因!」と特定できるものはありません。
あくまでリスク要因なのです。
経年変化でがん化するものもありますし、
遺伝や感染によって、がんのリスク要因となるものもあります。
そして要因があったとしても、発症するかどうかは個人差があります。
原因探しは労力を使う
突き詰めて納得したい気持ちは、誰しも当然の行為だと思います。
ですが、分からないところに尽力すると、より疲弊してしまいます。
その労力をがんと向き合うことに使って欲しいと思っています。
その為にはがんに対する正しい知識が必要なのです。
②一度は落胆、その後は未来

急に色々言われてもなにも考えられない…
もうどうするかなんて、先生に決めてもらえばいい…
誰に言っても仕方ないし、考えるだけ無駄…
色んな事を考えると、全てがどうでもよくなったりすることはあります。
それでも進む道を決めるよう求められます。
何でもいいと思う気持ちも今の本当の気持ちでしょう。
落胆することは必要なこと
特に男性は「弱い部分を見せたくない」と思いがちです。
そんな気丈に振舞っている人ほど、自分を追い込んでいることになります。
何かのきっかけで落ち込んでしまった時、
我慢していた分、立ち直れないほど落胆してしまうことも考えられます。
つらいのは皆同じ気持ちなのです。
自分が弱いのではありません。
全てさらけ出せる場所も必要です。
思考の切り替えが重要
落胆することも必要ですが、同じ場所に居てはいけません。
ですが、一度しっかり落ち込んでしまえば、気持ちの切り替えができるはずです。
「切り替えるために落ち込む」と考えられれば大丈夫です。
ただし、無理して頑張り過ぎてはいけないので、
どうしていいか分からない時は、全て投げ出して眠ることも必要です。
普段から、自分なりの気持ちの切り替え方を考えておきましょう。
必ず未来がある
がんと診断されたとしても、その場で全てが終わることはありません。
必ず明日がくるのです。
明日どうするかを決めていく必要があるのです。
だからこそ時間の概念が変わってきます。
今の時間で何ができるか、
今を乗り越えた先には、「毎日が充実している」という方が多いです。
③自分のことを考える

もう歳だし家族に迷惑かけたくない…
先が長くないならしんどいことはしたくない…
家族が望むなら仕方ないか…
特にご高齢だと、「もう自分は充分生きたから」という方もいます。
自分に医療費を使いたくない、子どもたちに残してあげたいなど、
思う気持ちがあるのも本心でしょう。
自分史を振り返る
普段でも自分が何をしたいのか、と考える機会は少ないかもしれません。
その上、苦しい状況下でそんなことを考える余裕はないでしょう。
ですが、一度明日を考え出すことができれば、気持ちに少し余裕が出てきます。
そんな時に、自分はどう過ごしてきて、何を考えてきたのか、
好きなことは何だったか、やりたいことは何だったか、
そんなことを考えてみましょう。
その中にヒントがあるはずです。
家族にも自分の考えを伝える
家族としては当然、最善の治療をして欲しいと望みます。
自分の考えがある場合は、素直に伝えます。
よく分からない、まとまっていない場合も、その状況を素直に伝えます。
家族に任せる、という考えを持つ方もいますが、
言い換えれば家族に責任を持ってもらうことにもなります。
多くの方は、家族の負担を少なくしたいと思うでしょう。
それならば、自分の思いを伝えることは重要なのです。
その選択で後悔しないかを考える
何を選択したらよいのか、分からないこともあるでしょう。
その選択をしたら、自分はどう思うだろうと、俯瞰的にみることも必要です。
周りの意見に流されてたとしても、周囲のために頑張りたいと思えるならいいのです。
あの時やっておけばどうなっただろう、とは考えないと思えるのならいいのです。
やらなくて後悔するより、やって後悔する方が、後々納得はしやすいものです。
自分の選択に自分が満足できるかどうかが、大きな指標です。
様々な思考過程を経ることで、前を向くことができます。
全ての思考過程に無駄なことはなく、全てが進む力になります。
とてもつらくて、しんどいできごとですが、支えてくれる人は必ず近くにいます。
誰だったら頼れるか、または病院に行ったときに見つけられるか、
事前に考えておけると良いかもしれませんね。
今回は以上です。
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